予防接種
ワクチン接種の注射の役割は、「わんちゃんの命に危険を及ぼす可能性のあるさまざまな感染症を防ぐこと」です。お散歩中にうつることも珍しくありません。必ず接種することをおすすめします。
当院のワクチン接種の流れをご紹介します。
- 全身の健康チェック
- 爪はのびていないかチェック
- 耳の中のチェック
- 肛門腺はたまっていないかチェック
ワクチン接種前に必ず行うステップです。
オーナー様のご希望に合わせて爪切り・肛門腺絞り・耳洗浄をさせていただきます。
ワクチン接種で予防可能な感性症とは(犬の場合)
- 犬ジステンパー
発熱、下痢、神経症状などが起こり、全身がおかされ、治ってもいろいろな後遺症に悩まされます。空気感染のほかに、感染犬から感染する場合もあります。子犬がかかりやすい傾向にあり、死亡率も高いこわい感染症です。
- 犬パルボウイルス感染症
血液の混じったひどい下痢や嘔吐を引き起こす腸炎型がよく知られていますが、子犬に突然死をもたらす心筋型もあります。感染犬の便や嘔吐物などから感染します。伝染性が強く死亡率が特に高いので注意が必要な感染症です。
- 犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型感染症)
アデノウィルスによる感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢・食欲不振などを引き起こし、目が白く濁ることもあります。感染犬の尿や便、唾などから感染します。子犬が感染すると、一晩で死亡してしまうケースもあります。
- 犬伝染性咽頭気管炎(アデノウイルス2型感染症)
アデノウィルスによる感染症で肺炎や扁桃炎など呼吸器病を引き起こします。感染犬との接触、さらに感染犬のせきやくしゃみなどから空気感染することがあります。
- 犬パラインフルエンザ感染症
パラインフルエンザウィルスによる呼吸器病で、激しい咳が特徴の感染症です。咳以外には鼻水、扁桃腺炎を起こします。アデノウィルスや細菌と一緒に『ケンネルコフ』と呼ばれる犬のカゼ症状を引き起こします。感染力が非常に高い感染症です。感染犬との接触、さらに感染犬のせきやくしゃみなどから空気感染することがあります。
- 犬レプトスピラ症
人にもうつる伝染病です。人と動物共通の細菌によって腎臓や肝臓がおかされるこわい伝染病です。いろいろなタイプがありますが、代表的なのは、歯ぐきの出血や黄疸が見られる黄疸出血型と、高熱、嘔吐、下痢、食欲不振を起こすカニコーラ型の2種類です。特に症状が出ないケースもあります。感染源は感染犬やネズミの尿ですので、アウトドアで活動する犬ほど感染しやすいので、予防が大切です。
- 犬コロナウイルス感染症
腸炎を引き起こす感染症です。下痢や嘔吐が起こります。パルボウィルスと混合感染すると症状は一層重くなります。コロナウィルスとパルボウィルスを一緒に予防することが大変重要です。感染源は、感染犬の尿や、便からの経口感染です。
ワクチン接種で予防可能な感性症とは(猫の場合)
- 猫ウイルス性鼻気管炎
感染力がとても強い上、他のウイルスとの混合感染が多い感染症です。症状としては、初めは咳やくしゃみ、発熱、鼻水といった風邪の症状が続きます。目ヤニが多くなり、角膜炎や結膜炎を引き起こすようになります。子猫の場合には、死亡するケースも多い感染症です。回復してもウイルスは体内に残ります。ストレスなどが原因で再発することもあるので注意が必要です。
- 猫カリシウイルス感染症
咳、くしゃみ、鼻水、風邪に似た症状が続きます。悪化すると、舌や口の周りに水疱や潰瘍がみられるようになり、肺炎を引き起こすケースも。他のウイルスとの混合感染で合併症を引き起こすと死亡することもあります。回復後もウイルスを排出することが必要で、感染源としての注意も必要です。
- 猫汎白血球減少症
白血球が極端に少なくなる病気で、パルボウィルスが病原体。最も危険な“急性感染症”のひとつで、「猫パルボウイルス症」としても知られています。子猫、若い猫に発症するケースが多く、症状としては、高熱、嘔吐、強い腹痛、食欲がなくなり、下痢がはじまると脱水症状となります。体力がない子猫などは1日で死ぬこともある死亡率の高い感染症です。妊娠中の猫の場合、胎児に影響することもあります。
- 猫白血球ウイルス感染症
症状は様々で、白血病やリンパ腫、貧血、流産などを起こすほか、免疫機能を弱めるため、他のいろいろな病気にかかりやすくなる感染症です。一般的な症状は、体重減少、発熱、脱水、鼻水、下痢など。感染猫の血液、唾液、涙の中に大量のウイルスが存在しており、さらに尿や糞便中にも多く含まれます。感染猫の唾液や鼻汁に長期接触することが感染の原因となることが多く、グルーミングや食器の共有で感染症を引き起こします。感染した猫は80%が3年以内に死亡すると言われています。治療の難しい深刻な病気のひとつなので、まずは予防すること、感染してしまったら感染の拡大を最小限に抑えることが重要です。
- 猫クラミジア感染症
クラミジア(細菌でもウィルスでもない病原体)によって引き起こされる猫風邪の一種です。クラミジアが目や鼻から体内に侵入し、粘膜が炎症を起こすことで目やにを伴う結膜炎を発症します。一過性の発熱、食欲不振、体重減少なども症状としてみられます。子猫が発症する感染症で、結膜炎や上部呼吸器症状がみられ、感染が持続ケースもあります。猫同士の接触でうつる感染症で、人に感染することもあります。
予防接種の回数、種類について
ワクチン接種によって作られる免疫は、一生続くものではありません。わんちゃんの場合、子犬期に2〜3回行う予防接種ですが、成犬になっても定期的な接種が必要です。わんちゃん、ねこちゃんの接種すべきワクチンについて、「接種時期」「回数」「ワクチンの種類」など丁寧にご説明しますので、まずは、当院にご相談ください。
接種後のお散歩について
「お散歩の開始時期」についての質問を多く受けます。いつから本格的にお散歩を開始するかについては、接種後に説明いたします。ワクチン接種後にワクチン接種済みのわんちゃんと遊ぶことは問題ありませんが、激しく興奮したりする場合は他のわんちゃんと遊ぶのは控えて下さい。またお散歩の際に激しく興奮するわんちゃんはお散歩の際には、抱っこをするなどの工夫が必要です。
ワクチンを打つ場所について
ワクチンを打つ位置は、犬の場合は基本的には皮が伸びる『首の後ろ』にワクチンを打ちます。
猫の場合、以前は肩甲骨の間の皮下に打っていましたが、ワクチン接種後にしこり(注射部位肉腫)ができた場合を考え当院では基本的には後足に打っています。
狂犬病の予防接種について
治療方法がない狂犬病は、致死率100%の恐ろしい病気です。法律で、年に1回の接種が義務付けられています。
ワクチン接種済証
わんちゃんの場合はトリミングやドッグランなど、たくさんのわんちゃんと触れあう場所では感染症が流行する可能性が高まります。ワクチン接種済証があることで、わんちゃんも家族も安心して遊んだり、ケア(お手入れ)をすることができます。また、ペットホテルなどに預けていただく際はわんちゃんに限らずねこちゃんも感染症の観点からワクチン接種済証がないと預かれないところがほとんどです。当院ではワクチン接種後、必ずワクチン接種済証を発行します。
フィラリア検査
蚊から感染する「フィラリア症」
フィラリア症とは、犬の心臓に寄生虫が寄生するとても怖い病気です。感染ルートは「蚊」です。吸血時にフィラリアの小虫が犬の体内に入り感染します。体内に入ったフィラリアの子虫は、成虫になると15〜25㎝ほどに成長します。心臓へ達したフィラリアの成虫は、さまざまな病気を引き起こす原因となります。
わんちゃんに次のような症状があれば、早めにご相談ください。
- 食欲がない
- 元気がない
- 咳が出る
- お腹が腫れる(腹水)
- 貧血する
- 失神する
フィラリア症を防ぐ方法
フィラリア症は、月に1回のお薬で防ぐことができます。お薬には、お肉タイプ、ソフトチュアブル(おやつ)タイプがあります。蚊の発生時期に合わせて投与し、感染を防ぎます。感染の有無を調べるため、お薬投与開始前に、血液検査を行います。健康診断の血液検査も一緒に行うことが可能ですので、お気軽にご相談ください。
予防の目安時期
お薬の投与を効果的に行うためには、蚊が発生する時期の1ヵ月後〜蚊がいなくなった時期の1ヵ月後までがベストです。郡山市の蚊の発生時期は、4月中旬〜10月下旬です。つまり、予防期間は5月下旬〜11月下旬頃となります。ただし、気候の影響で多少のズレが生じたり、地域差もございますので、まずは、早めにご相談してください。投与スケジュールを立て、わんちゃんの感染を防ぐための最善の方法をご提案いたします。
犬のフィラリア症についてもっと詳しく知りたい方へ
フィラリアのお薬メーカーさんのホームページにもとてもわかりやすく「犬のフィラリア症」について紹介してあります。こちらもぜひ、ご覧ください。
ノミ・マダニ予防
ノミやマダニは野外でくっつくことがほとんどです。草むら、野山、ドッグランなどのお散歩コースで感染します。他にも、オーナー様にくっついたものがそのままわんちゃんやねこちゃんにうつることもあります。ねこちゃんの場合には、放し飼いであれば野良猫との接触やお散歩でくっついてしまうようです。
室内で生活しているからノミ・マダニが感染する心配はないと思っていませんか?ご家族が外出先で洋服や靴にノミやマダニをくっつけてしまい、そのまま持ち帰ると、暖かい室内で繁殖します。それがわんちゃん、ねこちゃんにくっついてしまうこともあるのです。ノミ・マダニを予防するには、入念な清掃で常に清潔な状態にしておくことも大切ですが、お薬の予防が一番効果的でおすすめです。
マダニが与える人への被害
最近では、SFTS(重症熱性血小板減症候群)に感染したわんちゃんやねこちゃんから、人への感染が疑われる例があります。予防法としては、マダニにさされないようにすることが一番ですが、お散歩で草むらに入るわんちゃん、ねこちゃんには“お薬で予防”がいちばんです。わんちゃん、ねこちゃんをマダニから守るために、正しい知識を身につけましょう。
SFTSについて詳しく知りたいというオーナー様へ
厚生労働省ホームページでもご確認いただけます。
ノミ・マダニ感染チェック
わんちゃん、ねこちゃんが以下の項目に1つでも当てはまる場合には、ご相談ください。
- お外で遊ぶのが好き
- 季節の変わり目でないのに毛が抜ける
- 湿疹が出ている
- 胸元やお腹に黒く小さな粒がついている
- 体を掻いたり噛んだりしている
ノミやマダニのお薬について
- わんちゃんの場合
食べるタイプ(食べるタイプはわんちゃんのみ。おやつのように食べることができます)
スポットタイプ(背中に滴下するタイプのお薬) - ねこちゃんの場合
スポットタイプ
ノミ・マダニのお薬をご希望の場合、体重をお伝えいただければお薬のみの処方も可能です。体重がわからない、測れないという場合は、来院して測定することも可能です。フィラリア予防、お腹の虫下しも同時にできるオールワンタイプのわんちゃん用・ねこちゃん用のノミ・マダニのお薬もあります。予防薬の種類は、お薬を食べないわんちゃん、アレルギー反応が出るわんちゃん、ねこちゃんの症状によって変えることも可能です。予防薬投与後に何か気づいた点がありましたら、ご遠慮なくご相談ください。
健康診断(わんにゃんドック)
わんちゃんやねこちゃんの1年は人間の4倍~5倍、つまり4~5年分に相当します。1年に1回健康診断を受けていれば安心と考えてしまうのはNGです。わんちゃんやねこちゃんは、年齢に関係なく若いうちから、少なくとも半年に1回は、健康診断を受けることが理想とされています。健康診断と聞くと構えてしまいますが、当院の健康診断は体重測定、爪のお手入れをするだけでも来院いただき、健康チェックを行っています。爪が伸びたとき、フードを買いに来たときなどのついでに、健康チェックにいらしてください。
人間同様、わんちゃん、ねこちゃんも年齢とともに病気は増加傾向にあります。病気を治すための一番の方法は、早期発見です。たちばな動物病院では毎年10月~2月に血液検査やレントゲン検査、エコー検査を含めた『わんにゃんドッグ』を行っています。『わんにゃんドック』で病気を早い段階で発見できれば、治療の選択肢も広がりますし、治療効果も格段に上がります。またシニア期に多い甲状腺疾患や副腎疾患を検出するホルモン検査やねこちゃんの猫エイズ・白血病をオプションで行うことも可能です。
病気の予防と早期発見のため『わんにゃんドック』を是非ご活用ください。
わんにゃんドックで見つかる病気
一般身体検査で見つかる病気
聴診(心音・肺音の異常の有無)・骨格・皮膚・眼・耳・口・体表リンパ節などの外からわかる異常の有無。
血液検査で見つかる病気
貧血・腎不全・肝臓疾患・糖尿病など外見からは分からない病気の有無。
尿検査で見つかる病気
糖尿病・膀胱炎の原因となる細菌・結晶の有無。
糞便検査で見つかる病気
寄生虫(原虫・条虫・線虫)・腸内細菌の異常の有無。
超音波検査で見つかる病気
心臓病(弁の異常・血行の逆流)・腹水/胸水・肝臓や脾臓の腫瘤・膀胱結石・前立腺肥大・腸管の異常の有無。
レントゲン検査で見つかる病気
心臓病(心肥大)・肺の疾患・脊椎や骨盤の異常・膀胱結石・肝臓・脾臓の異常の有無。
わんにゃんドックメニュー内容
年齢や品種に合わせて、オーナー様と相談しながら検査項目を決めていきます。
<料金>
Aコース(3歳までの子におすすめです)
一般身体検査/爪切り/肛門腺しぼり/尿検査/糞便検査/血液検査 全21項目(生化学13項目 血球検査8項目)
Aコース | 税抜8,900円 + 再診料 (通常12,000円) |
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Bコース(4~7歳の子におすすめです)
Aコース + レントゲン検査
Bコース | 税抜13,900円 + 再診料 (通常17,000円) |
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Cコース(8歳以降の子におすすめです)
Aコース + レントゲン検査 + 超音波検査
Cコース | 税抜18,900円 + 再診料 (通常24,000円) |
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※要予約制となります。検査をご希望の場合は必ずご連絡下さい。
※大きなわんちゃんの場合は枚数に応じて1000~2000円プラスになります。
※わんちゃん、ねこちゃんの協力が得られず、実施できないものもあります。あらかじめご了承ください。