皮膚病でお悩みの方へ
大切なわんちゃん、ねこちゃんの皮膚の病気をいち早く発見するために、お肌のチェック方法をご紹介します。
- 脱毛しているところはありませんか?
- 皮膚の赤みは目立ちませんか?
- 常にかゆがっていませんか?
- 脂肪腫が多く見られませんか?
- ベタつきは目立ちませんか?
- ブツブツはできてきませんか?
- 不快なにおいが強くなっていませんか?
このような症状が見られたら、皮膚に異常がある可能性があります。早めの受診をおすすめします。
こんな症状でお悩みではないですか?
皮膚にトラブルを抱えているわんちゃん、ねこちゃんにはこんな症状が見られます。一つでも当てはまるものがあれば、早めに来院、獣医師にご相談ください。
- 体をかゆそうにしている
- 足をペロペロとなめている
- 顔、耳、口、のど、首、脇のあたりを特に掻いている
- 毛が抜けている
- 赤いブツブツがある
- 目や耳の周りが赤くなっている
- においが臭くなっている
- 皮膚がべたついている
皮膚病の原因
犬は、全身が毛で覆われている犬種も多いため、皮膚炎はなかなか発見しづらいものです。何か皮膚に炎症を起こしていることにオーナー様が気づくのは、犬が痒そうにしているときであることが多くあります。痒みの原因は皮膚炎によるものと考えられます。皮膚炎の原因には大きくわけて3つあります。
- アレルギーが原因
アレルギーに反応して皮膚に炎症が起きている状態です。炎症の原因は、アレルギー物質を食べてしまったり、アレルギー物質に接触した場合が考えられます。今まで問題がなかった食べ物や物質が原因で突然アレルギー症状が出ることもあるので、特に注意が必要です。
犬アトピー性皮膚炎は、原因が明確でなく厄介な皮膚炎です。複数のアレルギーによる要因が重なった結果生じる場合もあるのです。アレルギーは遺伝的な要因も強いので、引き取りの際には、親のアレルギーの確認も必要です。 - 外部要因が原因
犬の皮膚病の中で最も多いのが、ノミ、ダニに噛まれたことによるものです。ノミやダニはとても厄介で、犬の血を吸うだけではありません。犬に病原体を感染させることもあるのです。伝染力もとても強く、一匹の犬を媒介して、他の動物、場合によっては人間にも被害が及ぶこともあるのです。
注意が必要な寄生虫による感染症に疥癬(ヒゼンダニ)や毛包虫症(別名:ニキビダニ症、アカラス)があります。疥癬(ヒゼンダニ)は顕微鏡でしか見えないほどの小さなヒゼンダニが皮膚にもぐりこむことによって引き起こされる皮膚病で、皮膚に発疹や激しいかゆみが生じます。疥癬は感染している動物から人にも寄生し、腕などに皮膚炎を起こすことがあります。毛包中症(別名:ニキビダニ症、アカラス)は犬の免疫力が低下しているときに毛包虫が増殖すると、かゆみをもたらす危険があります。 - 皮膚の疾患が原因
皮膚に潜伏している細菌、真菌(カビ)や酵母菌(マラセチア)が悪さをすることで皮膚炎になることもあります。細菌性皮膚炎がその代表的なもので、症状としては赤い湿疹やかゆみが見られます。ひどくなると化膿してしまい、皮膚の弱い犬の場合には完治がなかなか難しいこともあります。
真菌性皮膚炎は、顔や耳、目の周り、口など皮膚のやわらかいところに症状がよく現れます。激しいかゆみは生じませんが、ひどくなると全身に広がり脱毛を引き起こします。皮膚のバリア機能が弱くなると細菌の二次感染を起こす場合があり、その場合は強いかゆみになることもあります。完治するには数ヶ月の治療が必要なケースもあります。
マラセチアは真菌(カビ)の一種である酵母菌で、マラセチアが発育・増殖するためには皮脂を必要とします。マラセチアは正常な皮膚にでもいる常在菌ですが、何らかの原因で皮膚の状態が悪くなったり、皮脂の分泌が過剰になったりすると異常に増殖し、特に口唇、指間、わきの下、内股などに炎症やかゆみを引き起こします。皮膚炎だけではなく外耳炎も引き起こします。赤み、かゆみだけでなく脂漏、フケ、独特の臭気があります。症状が長引くと、皮膚が厚くなったり、黒っぽく色素沈着したり、角化が進んで皮膚が厚くなったりします。
アレルギーの種類
犬のアレルギー性皮膚炎には、
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 食物アレルギー(食物有害反応)
- 犬アトピー性皮膚炎
があります。
痒みの原因になる異物、つまりアレルゲンにより病名が変わるのです。
- ノミアレルギー
アレルゲンはノミです。ノミの唾液に対して過敏反応を起こすのがノミアレルギーです。たった1匹でも刺されれば異常なかゆみを引き起こします。
- 食物アレルギー
アレルゲンは食物です。アレルギーを起こす可能性のある食材はたくさんあります。アレルギー反応が起きやすいのは、主にタンパク質や淡水貨物に対してであると言われています。
- アトピー性皮膚炎
アレルゲンはハウスダストやホコリ、花粉をはじめとする空気中に含まれる環境アレルゲンです。人間同様、わんちゃんたちもアトピー性皮膚炎に悩まされているのです。
当院の治療法
アレルギー性皮膚炎の治療法に重要なポイントは次の4つです。
- 痒みのコントロール
わんちゃんは痒みを感じると、身体中を引っ掻きます。痒がっている姿を見るだけでオーナー様もつらくなるものです。とにかく痒みから解放してあげることがポイントになります。痒みはさらなる痒みを引き起こし悪化させ、痒みサイクルにはまってしまいます。
治療法には「飲み薬」と「塗り薬」があり、症状によっては組み合わせて使用していきます。飲み薬の種類
- 抗ヒスタミン剤
- 糖質コルチコイド製剤(ステロイド剤)
- シクロスポリン(免疫抑制剤)
- オクラシチニブ(抗掻痒剤)
塗り薬の種類
- ステロイド系外用剤(スプレー、ローション、クリーム、軟膏タイプ)
- タクロリムス軟膏
これらのお薬は長期的に使用するケースが多いのが特徴なので、「効果効能」「副作用」をしっかり把握することが大切です。
- 二次感染の対策
アレルギー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が弱くなっているので、さらなる皮膚炎を引き起こすケースも少なくありません。ブドウ球菌やマラセチアが増殖してしまわないような対策が必要です。二次感染は痒みの悪化を招きます。対策は、「シャンプー療法」「消毒剤」「抗生物質」「抗真菌剤」の投与です。皮膚のバリア機能を強化することもとても大切なので、日常的に行うべきことは保湿によるスキンケアです。
- 生活環境の改善
ノミやダニからわんちゃんを守るために、お散歩コースを変更することも一つの方法です。わんちゃんがハウスダストマイト、花粉のアレルギーを持っている場合には、空気清浄機を設置するなどして、アレルゲンを減らす対策をとりましょう。空気清浄機だけでなく、ハウスダストマイトを中和するスプレーもおすすめです。少しでもわんちゃんたちからアレルゲンを遠ざけるための対策として、生活環境の見直しをしてみませんか。
- 適切な栄養管理
食事による栄養管理は、アレルギーだけでなく、わんちゃんの健康にとても効果的です。人間同様、肌荒れの原因は不摂生であるケースが多いので、食事の管理はとても重要なのです。アレルギー性皮膚炎に効果ありの栄養素は、「オメガ脂肪酸3」「オメガ脂肪酸6」「ビタミンC」「ビタミンE」など。乳酸菌製剤はアレルギー性皮膚炎に効果的と言われているので、乳酸菌製剤を添加し、腸内健康を整えることで、皮膚の健康を保つこともできます。